目地のチカラ

山之内裕一・山之内建築研究所

補強コンクリートブロック造(以下補強CB造)に限定しての話ですが、補強CB造の強度は目地で決まると言います。つまり目地接合部に使用するモルタル強度が重要なのです。構造強度上の考察は後日に譲るとして、ここでは目地の施工およびデザインを考えてみたい。まず積み方・見え方を大きく分類しますと、縦横目地を一直線に通すイモ目地と横目地のみを通すウマ目地(=破れ目地)があります。イモ目地は、芋(POTATO)の規則正しく伸びた根の意味です。ウマ目地は、馬(HORSE)の互い違いの足跡からのネーミングです。破れ目地は、JASS7(日本建築学会建築工事標準仕様書)に記載があります。

先日、30年前の建築専門雑誌に掲載されたブロック住宅の写真から構造形式を判断する、つまり補強CB造とそれ以外の型枠CB造(またはRM造)を区別できるかどうかを試みたことがありました。無謀にも限られた写真情報から構造形式を判断しようとしたのです。私は、当然のように目地に注目しました。結論を先に言いますと、写真からでも目地に注視することで補強CB造かどうかは、高い正答率で判断可能ということです。

あらためて目地の偉大さに気が付くとともに、その昔、現場で目地仕上げの際に職人さんからコテ選択をどうするか問われたことが脳裏に浮かびます。目地用コテは丸鋼を用いた丸コテと平コテがあります。そして縦方向と横方向、どちらを最後に引くかで見え方が異なる。つまりデザインの印象を変える力を、細部の目地が持っているのです。 そもそも目地とは、継ぎ目のこと。英語表記でJOINT。目は端と端の合うところ、地は位置・場所の意味(出典:大辞林・三省堂および建築大辞典・彰国社)。私たちは、CB造全般の目地が作る表情や模様から様々な意味を受け取っています。だから目地は大切なのです。

美しが丘の家・改修

  • 所  在:札幌市清田区美しが丘
  • 延床面積:185.02㎡(今回改修部分32.23㎡)
  • 構造規模:補強CB造一部木造・2階建
  • 設計監理:山之内建築研究所/山之内裕一
  • 施  工:エムイー・ワイ株式会社/目谷康雄:札建工業株式会社(既存2006年):ガラスブロック:日本電気硝子(株式会社クワザワ):コンクリートブロック:株式会社よねざわ工業
  • 撮 影:佐々木育弥、山之内建築研究所

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