三階建てに暮らす
設計/山之内裕一・山之内建築研究所
敷地に余裕がある場合、接地性を最大限に活用して水平方向に広がる住宅とするのか、あるいは階を重ねた垂直型住宅とするのか大いに悩むところだ。今回は将来の多様な敷地利用を想定し、敷地の四分の一のみを使って建築した垂直型住宅を紹介する。
1階を駐車スペースとゲストルームにあて、2階は居間を中心とした食堂・台所と浴室などの水まわりとした。3階はロフトスペースを備えた子供室、屋上階段のあるバルコニーを備えた主寝室にあてた。建物の中心に階段を配しコンパクトに上下を重ねた三層構成である。初期の計画段階では敷地を最大限に利用した平屋案、二階建て案なども検討している。実施案の三階建てに決定した当初、それぞれの部屋と部屋に適度な間合いがうまく作れるのだろうかという懸念があった。しかし建物の中心に階段を配置したことで、階段自体が緩衝帯となりうまい間合いができている。
垂直型住宅は、家族の間に適度なコミュニケーションをもたらすだけではなく、心地よい熱環境を構築している。外断熱した補強コンクリートブロック造の躯体をつくること、すべてはそこから始まった。高性能空気熱源ヒートポンプによる低温水床暖房システムの採用。3.2KWHの太陽光発電パネルの設置。自然エネルギー利用を積極的に志向したエコハウスである。
千歳のエコハウス 詳細情報
- 所 在 :北海道千歳市
- 構造・規模 :補強コンクリートブロック造、3階建
- 敷地面積 :254.88㎡
- 延床面積 :168.69㎡
- 設計監理 :山之内建築研究所/山之内裕一
- 施 工 :札建工業株式会社
- 竣 工 :2008年
- 撮 影 :半村隆嗣
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