ブロックらしさのカタチ

設計/山之内裕一・山之内建築研究所

物には目に見えるカタチがあり、物のカタチには確かな理由がある。

カタチは経済や機能、美意識などで決まる。建築では、構造や法規、そして素材そのもので決まる。コンクリートブロックは、正味寸法190ミリ×390ミリ×100~190ミリ厚の直方体である。私は1:2:1の比例になる組み合わせが特に気に入っている。ブロックの形状は概ね3種類(普通ブロック、横筋用ブロック、コーナー用ブロック)であるが、それらの組み合わせから多種多様なカタチが生まれる。寒冷地・北海道では断熱材をはさむコンクリートブロック外断熱二重壁工法というのがある。構造壁は内壁であり、外壁は化粧壁。そのため外壁は、より自由にコンクリートブロックらしさが表現できる。

「グレイの家」は、南北に細長い形状の敷地に建つ住宅。前面道路は北側にあるため、建物自身がつくる影を可能な限り敷地に落としたくない。そこで曲面壁を居間北側部分に用いた。東側から差し込む朝日は外壁ブロック曲面で反射し前庭へ導かれている。前庭に面したキッチンには丸窓を設けた。丸窓からは玄関先を確認できる。丸窓は、ブロック半割の円形アーチで構成し開口を強調した。東端、居間北側曲面壁の角は、コーナー用ブロックを組み合わせた組積造らしいディテールを追求している。いずれもコンクリートブロックという素材の合理性が生むカタチである。

グレイの家  詳細情報

  • 所   在 :北海道札幌市南区真駒内柏丘
  • 構造・規模 :補強コンクリートブロック造、2階建
  • 敷地面積 :292.47㎡
  • 延床面積 :166.44㎡
  • 設計監理 :山之内建築研究所/山之内裕一
  • 施   工 :辻野建設
  • 竣  工 :2004年
  • 撮   影 :安達 治

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