混構造パッチワーク

設計/山之内裕一・山之内建築研究所

八軒の家は、前面道路と中庭を結ぶトンネル状の車庫と、中庭を眺める書斎を1階に集約した3階建住宅である。1階部分は補強コンクリートブロック造とした。コンクリートブロックなどメーソンリー建築の第一印象は、強度のある素材感だ。例えば城塞が洋の東西を問わず自然石や漆喰壁で固められていることを想像していただければいい。もちろん木材や他の素材も数多くあるのだが、コンクリートブロック壁のイメージの強さがどうしても最初に目に浮かぶ。

住宅は、城塞のように周囲を威圧する理由がない。むしろ周囲に溶け込み積極的に街並参加したい。そうした要求に無理なく応えようと(いや工事費の経済的理由で)1階をコンクリートブロック造、2・3階を木造とする混構造を選択した。平面プランにシンクロして出入りする微細な外壁をデザイン要素と考えた。まるでパッチワークのようだとファサード写真を見て思う。考えてみれば、混構造そのものが構造形式のパッチワークであり、そこから多様な可能性が見えてくる。ちょっと辛口だが混構造は、現代のコンクリートが本質的に抱えているCO2 問題に対し、木材の価値を盾にしているだけかも知れない。何はともあれセメントレスのジオポリマーコンクリートブロックが日本で普及する日までとりあえずパッチワークを楽しもうと思う。

八軒の家  詳細情報

  • 所   在 :北海道札幌市西区八軒
  • 構造・規模 :補強コンクリートブロック造一部木造、3階建
  • 敷地面積 :151.77㎡
  • 延床面積 :155.45㎡
  • 設計監理 :山之内建築研究所/山之内裕一
  • 施   工 :大岡産業株式会社
  • 竣  工 :2004年
  • 写真撮影 :安達 治(2016年撮影)

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