家具としてのコンクリートブロック

設計/山之内裕一・山之内建築研究所

コンクリートブロック造住宅設計や建設現場に関わっていると、構造体だけではなく家具などより人体に触れる部分をブロックでつくることが出来たらいいなと考えることがある。例えば、木造住宅ですべてを木材で仕上げたいと思うのは当たり前なこと。丸太を輪切りにした手作りスツールなどが並べてあるのを発見した時など、住人の愛着を感じ思わず微笑んでしまう。そこはコンクリートブロック造住宅でも同じである。均質無垢な素材感は、地中海の白い漆喰で固められた島々の街のように魅力的な風景を想起させるばかりでなく、住人参加や持続可能な維持管理など、住宅の本質さえ問うのである。

今回、当コラムで紹介した住宅から家具的要素を再録し、コンクリートブロック素材の持つ可能性を探ってみたい。

第一例は、地中海に近いスペインの小さな集落・モンフェリ―に建てられた教会堂の屋外ベンチである。時として私たちは、植込みや噴水の端、そして階段に座り込む。屋外ベンチは、モンフェリ教会堂前庭を取り囲むように設置された。台地状になった敷地にそそり立つ教会堂に礼拝者を迎えている。地中海に近いとはいえ、冬は寒い。村人たちは太陽で暖められたコンクリートブロック製ベンチに座って体を暖めるのだろう。ブロックの背もたれは人体に合う角度に考えられている。ブロックの教会堂にはブロックのベンチがよく似合うのである。

次に、薪ストーブの遮熱壁にコンクリートブロックを用いた例である。近くに木製障子の引戸があるため、耐熱効果が期待できる壁を求められた。薪の火が消えても遮熱壁の蓄熱効果が働くのでほんのりと暖かい。 その他、テーブル、照明器具、本棚、等々ブロックの家具的利用範囲は住宅のあらゆる場面に広がる。いわば、コンクリートブロックは日常的で身近な素材なのであるが、その話は別の機会に譲りたい。

詳細情報

  • ブロックのベンチ~モンフェリ―の教会堂(週刊ブロック通信平成28年1月1日号)
  • 所   在 :スペイン・カタロニア
  • 建築設計  :J.Ma.ジュジョール
  • 竣   工 :1926年~中断、1990年完成
  • 撮   影 :山之内裕一
  • 薪ストーブ遮熱壁~小屋群住居K(週刊ブロック通信平成25年11月18日号)
  • 所   在 :北海道札幌市
  • 設   計 :山之内建築研究所/山之内裕一
  • 竣   工 :2012年
  • 撮   影 :山之内裕一

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