レンガのフェンス

設計/山之内裕一・山之内建築研究所

ずっと昔に入手したシカゴの写真集が手元にある。シカゴの代表的な都市風景を記録したもので、よく知られたミースのレイクショアドライブアパートメントなどと共に大リーグカブスのリグリー球場がある。例のレンガ壁に緑のツタが絡まる外野フェンスがユニークで、ボストンのフェンウエイ球場のグリーンモンスターと並び多様な米国ならではの外野フェンスだ。そこを越えればホームランという厳格な境界線でありながら、選手や観客、そしてTVの前の私たちを楽しませる工夫が詰まっている。

住宅の塀も同様に、敷地境界上に明確な線を引くことで内と外を峻別するのだが、建築空間の一部として目に映る姿は美しく心に響くものでありたい。そういう願いを込め、ある住宅付き医院のエントランスまわりに柔らかな外部境界をつくる、レンガ1枚幅95mmで自立する軽やかな塀を設計した。建築構成は、コンクリート基礎に埋め込んだ直径42.7mm亜鉛メッキ鋼管支柱にレンガを通し置く透かし積。非金属の目地材を挟みレンガ同士を絶縁した乾式工法。構造的に支柱が耐震性能を担い、レンガ自体に応力がかからない。透かし積レンガ塀の開口率は20%以上であり、透かしコンクリートブロック(花ブロック)に近い透視通風効果も期待できる。レンガ塀の重々しさだけではない空気感が演出できたのではないかと思っている。

透かし積レンガ塀  詳細情報

  • 所   在 :北海道当別町
  • 構造・規模 :乾式工法、H=2,000 L=4,900
  • 設計監理 :山之内建築研究所/山之内裕一
  • 施   工 :辻野建設工業株式会社
  • 竣  工 :2013年
  • 写真提供 :北海道農材工業(当時)不二窯業(株)札幌営業所澤田明広(現在)

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