木とコンクリートブロックの家

仕上表は文字で表す設計図書で、床壁天井の部位ごとに、床フローリングなどの材料名を書き込む。材料の厚さや表面の塗装などの有無、時には色彩も決めてしまう。つまりデザインの方向性を決める。それほどの仕上表に向かい合う時、長い時間の中で建築を眺め、建築素材の風化と耐候性をどのようにとらえるかを考える。ある時、素材の風化と耐候性という正反対の言葉が実は同じ意味を持つのだと気がついた。実際、英語のweatheringはその両義が与えられている。つまり、素材は両義性を持つ。

今回、私が設計し完成した住宅はこれから数十年、風雪に耐え、また強烈な日射をしのぎながら生きながらえる。だから、屋根と外壁は風化に耐えて美しくたたずむ素材を選択した。それは、金属板のガルバリウム鋼板であり、コンクリートブロックである。また、木材も適切に用いれば、素晴らしい耐久性を発揮する。構造形式は、コンクリートブロック壁体を断熱材と木材で覆う外断熱工法とした。私は、室内にコンクリートブロックが素地で露出することにいささかも抵抗がないわけではない。しかし北海道のブロック職人は、漆喰などの仕上げを必要としないほどの奇麗さで仕上げて見せてくれた。外部に用いた木材は、10年単位の耐候性を誇る自然塗料プラネットカラー塗装。これは木材が素地仕上と見まがうほどだ。木とコンクリートブロックが、美しく風化していくこの住宅の時間を共に楽しませてくれる。

(山之内裕一/山之内建築研究所)

2020年10月19日第3109号

木とコンクリートブロックの家 詳細情報

  • 江別の平屋1(プロジェクト2020HOUSE1)
  • 所  在:北海道江別市
  • 構造規模:補強CB造および一部木造、平屋
  • 敷地面積:266.00㎡
  • 延床面積:107.97㎡
  • 設計監理:山之内建築研究所/山之内裕一
  • 施  工:松浦建設
  • ブロック施工:よねざわ工業
  • 設  計:2019年9月~2020年1月
  • 竣  工:2020年4月~2020年9月
  • 写真撮影:佐々木育弥

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