蒸暑地域コンクリートブロックの家

設計/山之内裕一・山之内建築研究所

私は今、蒸暑地域(寒冷地域に対して)におけるコンクリートブロックの活用というテーマの取り組みをお手伝いしている。地震が多発しているフィリピンで、地元のブロック造建築をなんとか日本の水準に近づけたいというのだ。インドやバングラデシュ、ネパールのレンガ造建築はかれこれ半世紀前に見聞している。近年、バングラデシュの首都ダッカではレンガ焼成時の煤煙によるスモッグが環境問題化している。セメントに地域の砂などを混ぜて固めるコンクリートブロックは煤煙を出さない。日本の補強コンクリートブロック造は、地震国日本ならではの世界最高レベルの強度を誇っている。地球の裏側まで届けるような壮大な話なのだが、現状ではデスクワークが目下の仕事。現在国内では沖縄がブロック王国。かつては北海道がそうであったのだが今は違う。しかし、ブロックへの愛着は私だけではなく北海道民の歴史に脈々として流れている。

計画案は、外側を沖縄の花ブロックで、内側を新開発予定の北海道仕様ブロックで二重円を構成するコンセプト。実は設計実務家としての建築家は工法をフラットに見ている。工法への愛着だけではない。つまり、木造、S造、SRC造、RC造そしてコンクリートブロック造は設計目的によって使い分けるものだと考えている。ブロック造が伸び悩んでいる現在、どうすれば選択肢になれるのかを考えたい。(設計/山之内裕一・山之内建築研究所)

ダブルサークルハウス  詳細情報

  • 所  在 :フィリピン、沖縄
  • 構  造 :補強コンクリートブロック造、2階建
  • 敷地面積 :349.44㎡
  • 延床面積 :150.00㎡
  • 設計監理 :山之内建築研究所/山之内裕一
  • 施  工 :未定
  • パース製作:田名部伸紀建築設計事務所/田名部伸紀

週刊ブロック通信の購読申し込み

CTA購読申し込み画像
「コンクリート製品業界に関連するするニュースをいち早く・幅広く」お手元に届けることを心がけ、「週刊ブロック通信を読めば、この一週間の業界の動きが全て分かる」紙面づくりを目指しています。