緩衝空間をブロックでつくる
設計/山之内裕一・山之内建築研究所
狭小敷地では地面に接する1階部分の使い方は限られ、玄関や駐車スペースに振り向けられることが多い。発寒の家も1階は2台分の駐車スペースと玄関アプローチ、そして外部物置や花壇に使われている。いわば敷地の中に外部空間が多くとりこまれているのである。仮に十分に広い敷地が用意されていれば、道路と室内との間に距離を保つ緩衝空間を平面的に配置することが可能になり、ゆったりとした外部空間が得られる。たとえそうはできない場合であっても、室内と外部を緩やかに連続させる方法はないものだろうか。
1階部分をピロティ(柱で支えられた軒下空間)とするアイディアはこうした思考過程から必然的に生まれたものだった。 2、3階を木造の直方体でつくり外壁をガルバリウム鋼板で覆った。発寒の家の主な生活空間は1階にない。1階の外壁はコンクリートブロックを曲面に積み、コンクリート円柱と共に柔らかな印象を期待した。1階は大きな玄関スペースとして活用されることになった。内壁もまたコンクリートブロック壁。コンクリートブロック壁とすることで、内部でありながら外部の雰囲気を持ちこむことができた。北国の狭小敷地の緩衝空間として成功していると考えている。もちろん外断熱二重ブロック壁でもある。
発寒(はっさむ)の家 詳細情報
- 所 在 :北海道札幌市
- 構造・規模 :木造一部RC造、3階建
- 敷地面積 :143.21㎡
- 延床面積 :158.40㎡
- 設計監理 :山之内建築研究所/山之内裕一
- 施 工 :東日本リファイン株式会社
- 竣 工 :1998年
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