番外編・ブロック造の教会堂

設計/山之内裕一・山之内建築研究所

モンフェリ―教会堂は、スペインの北東部カタロニア・タラゴナ近郊にある。

20世紀初頭、カタロニア経済の中心地であったバルセロナ。この地で巨人建築家ガウディは独創的な建築を次々と生み出していた。彼の主要作品を支えた設計協力者であったのがジュジョールだ。ガウディ死去の年、ジュジョールは自身の出身地に近いタラゴナで教会堂建設に携わっていた。地区の教会堂は、当時人口500人に満たない小さな集落を見渡す小高い丘に計画された。教会堂建設は集落の悲願であった。折からの社会状況・経済状況の変化に伴い1層分のみが出来たところで建設は中断され、以後遺構として半世紀間放置されていた。そして1990年再建され現在に至っている。

5年前、ジュジョールの日本人研究者・木下泰男氏と共に訪れた。私の興味はコンクリートブロックによる教会堂という点である。それも仕上げのないコンクリートブロック素地。構造形式は、ガウディの代表作サグラダ・ファミリアと同じ回転放物面を採用している。建設には軽量化と省資源のため、最寄りの駅舎に貯蔵されていたコークス殻を混ぜた手作りのコンクリートブロックを積みあげた。その意味ではエコ建築でもある。まるで石積のように誇り高く積まれた姿は、建築材料としてのコンクリートブロックの未知なる可能性を感じさせる。90年前に着工された、堂々たるコンクリートブロック造建築である。

モンフェリーの教会堂  詳細情報

  • 所   在 :スペイン・カタロニア
  • 構造・規模 :コンクリートブロック造
  • 設   計 :J.Ma.ジュジョール
  • 施   工 :1926~未完、1990再建
  • 撮   影 :山之内裕一
  • 資料参照  :木下泰男2011年研究論文

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