赤レンガの有用性

設計/山之内裕一・山之内建築研究所

今回は、コンクリートブロックなど組積造を構成する素材と質感についてのお話です。 現在も多くの人に好まれている、私もその一人ですが、レンガについてです。土地の粘土を焼成してつくられるレンガ、それぞれに異なる地域独特の魅力を持つ素材です。

北海道の中央を南北に連なる日高山脈、その西側に位置する浦河町。昨年末、この町に教会堂が完成しました。45年前につくられた旧会堂の建替えです。既存建築は、高さ2mほどの基壇状敷地に建ち、コンクリート擁壁で囲われていました。新築にあたり、既存建築部分のみ解体撤去し、新たに木造2階建会堂を設けました。

保存再利用する擁壁は、数年ごとに塗装補修されていたものの傷みが激しく、改善が期待されていました。耐久性があり質感の優れた素材が求められた結果、レンガが採用されることになったのです。コンクリート擁壁に恒久的な素材で仕上げを施すことで将来の維持管理の見通しがつき、同時に宗教的な威厳を備えた質感も得られたと考えています。

今回使用したレンガは、北海道江別市の北海レンガ工場製、吸水率10%以下、圧縮強度30N/mm2以上、日本工業規格4種区分製品。鮮やかな赤色は、この地の粘土に含まれる多くの鉄分が発色したもの。雪の白色、植物の緑色に映える素材として有用性があります。ここでは赤レンガの視認性を生かし、階段や擁壁で色あせることのない輝きを放っています。

日本キリスト教団 浦河教会  詳細情報

  • 所   在 :北海道浦河郡浦河町昌平町
  • 主要用途  :教会堂、納骨堂、事務所
  • 構造・規模 :木造、2階建、地下2階
  • 延床面積  :296.60㎡
  • 建築監理 :山之内建築研究所/山之内裕一
  • 施   工 :古川建設
  • レンガ工事 :大谷建設工業、不二窯業
  • 竣  工 :2021年12月

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