公共工事の調達価格 市場原理導入を提言 土木学会

土木学会の建設マネジメント委員会「公共工事の価格決定構造の転換に関する研究小委員会」(委員長=木下誠也氏)は、予定価格と価格構造について4年にわたる討議の成果を「公共調達の在り方に関する報告書」にまとめた。報告書では公共工事の価格について、契約額の正当性は本来、競争入札による市場の価格形成が拠り所であるはずだが、一般には発注者側が行うコスト計算が根拠となっていると指摘。「戦後の価格統制時代に、やむなく取られた運用方法からの脱却が必要」とした上で、労働条件を下げて競争の優位性を保つのではなく、市場の原理に基づく健全な競争環境のもとで施工の安全性や品質が確保され,技術者や技能者に適切な対価が支払われ、施工の創意工夫や技術開発意欲を増進する調達を実現する必要があると強調。下請け価格や労務賃金などの適切な支払いをルール化した上で、下請け価格や労務費などを積み上げて入札金額が決まる、いわば下流から上流へと価格が決まる構造への転換を提言した。また、働き方改革や物価高を上回る所得増が求められていることを踏まえて、建設現場で働く技術者や技能者の作業時間・支払賃金で工事原価を説明することが重要になるとして、自らの施工能力(=自らの施工歩掛)を把握するよう求めた。

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