CB造とRC造を比べてみると
山之内裕一・山之内建築研究所
歴史的にはほぼ同時期に生まれているCB造とRC造、それぞれの①物理的(材料的)、②施工的(工法的)、③社会的(経済及び環境的)特徴を今回はCB造側の視点から探ってみたい。
最初に物理的(材料的)特徴では、どちらも同じセメント+骨材+水の組合せであるものの、CB造は骨材を地域材に頼ることから必然的に微差を生じる。他方、RC造は全国的に差が少ない。両者に大きな違いが生じるのは施工的(工法的)な場面である。RC造は、生コンクリート状態で工場から建設現場へ運搬され打設する。CB造はというと、完成品として出荷されたブロックを建設現場で積む。CB造は工場出荷時の状態が個体のため品質を維持しつつストック可能なのだ。そしてCB造積みの現場は、職人のコテの音だけが響く静かな環境だ。そのうえ大げさな機械やたくさんの人員も不要。職人力がそのまま施工完成度に反映することから、職人目線で言うと仕事への思い入れ、やりがいも強くなる。私が接したCB造積み職人は皆そのように感じた。
CB造の立ち位置が明瞭に見えてくるのは、建築と社会との関係性においてである。スペインの大都市バルセロナで私が直接目にした例では、100mの高層ビルの帳壁にレンガ積下地のプラスター左官仕上が施工されていた。日本では軽量鉄骨下地にプラスターボード(石膏ボード)を施工するところだ。古いレンガ造建築が残っている地域ということもあり、レンガ素材が生産と工法両面で今日的に継承されている。もちろんCB造もレンガ造と同様の扱いだ。 CB造が持っているストックできる備蓄可能性、最小限のエネルギーで建設できる省力性、精度を問わなければ初心者でもDIYできる自力建設可能性、誰でも素材工法に関わることのできる道具性、それらを共有できる当事者性、などなど私たちの社会がともすれば見失いがちな有用性がCB造にはある。
ブロックの置かれたCB積み現場 静かなCB造積み現場 動的なRC造打設現場 CB積完成住宅内観
(仮称)厚別東の家
- 所 在:札幌市厚別区
- 構造規模:補強CB造2階建
- 設計監理:山之内建築研究所/山之内裕一
- 施 工:松浦建設
- ブロック施工:よねざわ工業
- 竣 工:2025年6月末予定
- 撮 影:山之内建築研究所