移住を待つブロック平屋

設計/山之内裕一・山之内建築研究所

私の住む北海道は、夏と冬の季節がはっきりと体感できるいわゆる大陸性の気候風土が特徴です。短いけれど気温30℃に達する真夏、マイナス10℃を下回る冬は純白の雪に覆われる幻想的世界になります。春秋は緑の芽吹きと紅葉の季節、さわやかな空気に包まれます。自然を肌で感じながら日常生活を楽しみたい人には理想的な土地のひとつでしょう。

そんな場所に、いま北海道の建築家と地元の工務店がチームを組み知恵を結集して住宅群をつくり、広く全国から移住者を募集しています。とりわけ私たちのチームは、コンクリートブロック造平屋住宅に挑戦しています。かつて北海道には防寒住宅と呼ばれたブロック住宅の供給を官民で支えた時代がありました。時代の流れで、各地にあったブロック製造業者や施工業者は姿を消してしまいましたが、私たちのチームは、北海道に根付いたブロック住宅の歴史を何とか継承したいと考えました。コンクリートブロックは、北海道の大地に無尽蔵にある火山灰をセメントで固めた地元産の素材。それを生かすことで、ここにしかない住宅ができると考えたのです。プランは、四隅に個室や水回りを配し、中央におおらかにシンプルに十字に交差するオープンスペースがあります。木造の車庫棟と屋根をかけただけの小屋棟を東西に連結させる3棟構成です。特に小屋棟は、居住者の要望を取り入れ自由に作り込むことが可能なカスタマイズができる取り組みです。もちろん先端の断熱性能を備えています。ブロックの重量感と空間の高級感あふれる中に、比較的リーズナブルな価格帯での供給を目指し、まだ見ぬクライアントの訪問を心待ちにしています。

カスタマイズできる家  詳細情報

  • 所   在 :北海道南幌町
  • 構造・規模 :補強コンクリートブロック造および木造、平屋
  • 敷地面積 :337.80㎡
  • 延床面積 :115.93㎡
  • 設計監理 :山之内建築研究所/山之内裕一
  • 施   工 :晃和住宅
  • 設   計 :2017年
  • 竣  工 :2018年5月予定
  • 企   画  :「みどり野きた住まいるヴィレッジ」(主催) 北海道、南幌町、北海道住宅供給公社(協力) 公益社団法人日本建築家協会北海道支部                              
  • 写真提供:札促社  
  • 撮    影 :佐々木育弥

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