年の初めにCBを考える

設計/山之内裕一・山之内建築研究所

今回原稿のため、過去二年間計二十二回分の「ブロック造住宅の系譜」を検証した。当コラムは、コンクリートブロック住宅の周辺を浮き彫りにすることが主眼だと考えている。取り上げる住宅は誰の設計でも構わないのだが、紙面掲載手続き上、私が設計した住宅を対象としている。

私は、北海道に居住する建築家として、北国の住宅の本質を追求している。特にこの二年間はそのことを明確に意識してきたし、この間二軒の住宅をレポートする過程で確信を得た。つまり、北国特有の屋内型生活様式に対応した住宅で、ハイサイドライトから自然光を取込む中心空間を持つ十字プランのブロック平屋住宅、である。

建築は、地球上でそこにしかない敷地の上にある唯一無二の存在なのだ。そして、どんなに繕うことができても風化や劣化を受け入れなければならない。私はそうした宿命を背負った建築としてのコンクリートブロック住宅を考えていきたい。社会的な存在として地球環境へ悪影響を与えないこと、生活の器として美しく快適であること、何より有用性を確認できることがこの時代のテーマだと思う。コンクリートブロック建築が住まい手も作り手もそして誰にも透明性のある信頼できる対象になっていくことを今年も願っている。

江別の平屋Ⅱ  詳細情報

  • 所   在 :北海道江別市
  • 構造・規模 :補強CB造一部木造、平屋
  • 敷地面積  :300.00㎡
  • 延床面積  :101.26㎡
  • 設計監理 :山之内建築研究所/山之内裕一
  • 施   工 :松浦建設
  • ブロック施工:よねざわ工業
  • 竣  工 :2021年3月
  • 撮   影 :佐々木育弥

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