歴史的な転換点を戦略的な転換点に

 新しい年2022年が幕を開けた。今年は寅年、十干十二支では壬寅(みずのえとら)だ。相性が良い「相生(そうせい)」の組み合わせで、安定した良い年が期待できるらしい。60年前の壬寅の年、1962年(昭和37年)はどのような年だったのか。東京が世界初の1000万人都市となり、日本のテレビ受信契約が1000万を突破。2年後の64年に東京オリンピック開催を控え、まさに高度経済成長の階段を一気に駆け上がろうとする勢いに満ち溢れた年といえる。それは少子高齢化による人手不足や、コロナ禍に見舞われる中で開催した東京オリンピック、激甚化・広域化する自然災害など多くの困難に直面する現在とは様子が大きく異なる。一方で、国際的には鉄のカーテンが降り、東西冷戦は深刻な事態を迎えていた。アメリカとソ連の「キューバ危機」により世界が核戦争に最も接近したのがこの年だ。最悪の事態は「人類の利益」を優先するケネディ、フルシチョフ両首脳の理性により辛うじて回避された。そしてスポーツ界では、巨人の王貞治が一本足打法を編み出し、国鉄の金田正一が通算3509奪三振の世界新記録を樹立。音楽シーンでは、ビートルズとボブ・ディラン、日本では北島三郎がデビューし、ジャニーズ事務所が創業したのもこの年だ。どうやら、新たな環境や局面に向けて挑戦を始めるには良さそうな年と言えそうだ。

 我々は依然としてコロナ禍中にあり、制約を受けながらの生活を余儀なくされている。しかし、その一方で地球規模の課題である気候変動問題の解決に向けて、脱炭素社会の実現が全人類・全産業に求められている。コンクリート製品業界も例外ではなく、特にセメント・コンクリート産業が果たす役割には大きな期待が寄せられている。期待に応えることができなければ、やがて社会から相手にされなくなる。ただ、それが初めからうまくいくとは限らない。後にビッグネームとなる人達も、初めからヒットを飛ばしていた訳ではない。それでも辛く厳しい冬はいずれ終わり、暖かい春が来る。冬が厳しいほど春の芽吹きは生命力に溢れ、華々しく生まれ変わる。それが「壬寅」だ。

 

 

 

 

 

 

 

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