CB建築の講義・その9~検証
山之内裕一・山之内建築研究所
2018年に私たちが設計した「カスタマイズできる家」は、住まい手の要望に応えるのが売りなのだが、6年を経過し実はできないことが多い。居間を広げようにもコンクリートブロック壁が立ちはだかり、2階建てには大工事をともなう。それでは何が可能なのかというと、収納や調理器具前のガラス壁、外部カーポートと付属小屋の雪囲い木塀などの付加だけだ。
そこで初心にたちかえり、「カスタマイズできる家」とは何なのかを検証したい。そもそもコンクリートブロック造住宅は、構造の特殊性ゆえに長い時間を生きる家を目指している。それでは木造住宅を敵に回すようだけれど決してそうではない。私のコンクリートブロック住宅は屋根や壁の一部が木造だからだ。長い時間を生きる家は、住まい手の変化に対応できる柔軟性と拡張性をそなえる。スクラップが終着点ではなく、ストック型建築として生き続けて欲しい。そのために部位別素材毎の寿命と再生を想定した。風化と戦う外壁木板張は単一断面材を大和張りし、身近に入手できる地域の木材を使用した。老朽化による張替にそなえて、互換性や施工性を重視する。さらに住まい手のDIYさえ可能になる。これは日本のモノづくりにも通じる。かつて大型ジェット以前の国産双発機YS-11は互換性のある同型エンジンを左右に搭載していたという(エンジン自体は英国製だったが)。
大雪の翌日、除雪の手伝いに向かう。カスタマイズされた雪囲い木塀はとても有効。積雪の2月、さらに検証が続く。
カスタマイズできる家(第4回エコハウス大賞優秀賞) 詳細情報
- 所 在:北海道南幌町
- 構 造 規 模:補強CB造および木造、平屋
- 敷 地 面 積:337.80㎡
- 延 床 面 積:115.93㎡
- 設 計 監 理:山之内建築研究所/山之内裕一
- 施 工:晃和住宅/小川敏夫
- ブロック施工:よねざわ工業
- 設 計:2017年
- 竣 工:2018年6月
- 写 真:山之内建築研究所
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