道具の周辺
コンクリートブロック工事現場の特徴の一つに、独特の静けさがある。現在のコロナ禍で不要な会話を自粛するからでは無く、もともと静かな作業環境なのだ。作業をスマートフォンで動画を撮ると、職人の扱うハンマーやコテの音が小気味よく響いている。ときおりBGMのように、周辺を通過する車の騒音や小鳥のさえずりなどが入る。それほど静かで、職人も自身のつくる作業音を確かめながら、いわばリズムを刻みながら作業効率を保っているようだ。彼らが使う道具は、それほど多くはない。考えてみると、完成後の姿は細かく見ているのだが、どういう道具で、どういう手順で作業するのか詳細に知らない。そこで、道具や材料や手順を記録し理解を深めたいと考えた。以前、神戸市にある竹中大工道具館を訪れた。大工道具博物館として、道具だけではなく、使い方や作り方を同時に展示し、大工文化を体系的に伝えようとしている。私が設計監理する北海道の一現場を通して、道具と使い方を振り返り、補強コンクリートブロック工法の理解に役立てたい。おもな材料は、コンクリートブロック、鉄筋、モルタルの3種類。それらを加工し組積作業に使用する道具が、ひしゃく、かくはん機、水準器、ハンマー、目地ゴテ、曲尺、下げ振り、レンガコテ、バケツ、カッター集塵機付き、等々である。
(山之内裕一/山之内建築研究所)
2020年6月22日第3092号
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