新しい価値の創造に挑む 陽の火で切り開く未来 

新しい年2026年が幕を開けた。今年は午年。古来、馬は風のように駆ける俊敏さと力強さから、発展や前進を象徴する動物として親しまれてきた。十干十二支では丙午(ひのえうま)にあたり、「陽の気が高まり、勢いが増す」年回りとされる。それは活力が極まり、大きな転換へ向けて動き出す年とも理解できる。

では、もう少し詳しく2026年「丙午」の年回りを読み解いてみよう。

●丙午の年とは

専門家によると「丙(ひのえ)」は十干の3番目にあたり、太陽が勢いよく昇り、明るさと情熱が外へ向かって溢れ出す段階を示す。五行では「火」で、強い意志や決断力、物事を押し広げる力を象徴する文字だ。一方、「午(うま)」は十二支の中でも同じく「火」の性。行動力、スピード、エネルギーを示し、勇敢さや独立心を象徴してきた。

この2つの「陽の火」が重なる「丙午」は、勢いと情熱が増幅し、燃え盛るような活力が立ちのぼる年とされる。つまり情熱と行動力で道を切り開く年ということになる。

かなり2026年の姿が見えてきたが、60年前の丙午の年、1966年(昭和41年)はどのような年だったのだろうか。

●60年前の丙午は「黄金の昭和40年代」の入り口

1966年は、東京五輪からわずか2年後。高度経済成長のただ中で、日本の人口は初めて1億人を突破した。物価は5・1%も上昇。成長と負担が同時に押し寄せる勢いのある時代だ。世相もまた、火が立ち上るような明るさに満ちていた。

ビートルズ来日で日本中が沸き、テレビでは「ウルトラマン」、「魔法使いサリー」、「忍者ハットリくん」が放送を開始。どれも空を飛び、上へ上へと向かう物語ばかりで、当時の気分そのものを映している。

娯楽も一気に花開いた。全国にボウリング場やバッティングセンターが誕生し、週刊プレイボーイの創刊やバニーガールの店、ゴーゴー喫茶の流行など、都会の享楽的なムードも広がった。朝の連ドラ「おはなはん」は視聴率50%を記録。人々は未来に向けて軽やかに弾み、社会全体が上昇気流に包まれていた。

一方で、政治の世界は「黒い霧事件」に揺れ、海外では文化大革命やブラックパワー運動など突き上げの動きも顕著だった。火の年らしく上昇と混乱が入り混じる揺らぎの時代であったと言える。

この年の週刊ブロック通信を読み返してみると、ブロック業界もまた、急速な変化と上昇の気配に満ちていた。

4月25日号では、前年度(1965年度)の空洞ブロック生産量が初めて前年を下回ったと報じている。しかしその前年1964年は東京オリンピック景気を追い風に、生産量が史上初めて4億個を突破した年である。

当時の経営課題は明確で、「作れば売れる」需要に応えるべく、いかに短期間で大量生産し、安定的に供給するかに尽きていた。これを象徴するのが、新日本ブロック(現エスビック)の高崎工場竣工だ。勢いのある企業を中心に、生産能力増強の動きが相次ぎ、全関東コンクリートブロック工業組合が発足し、JIS認可工場が増加するなど、規格と品質に軸足を置いた組織化・近代化が一気に進んだ。それは、優勝劣敗の流れが業界に芽生え始めた時期と捉えることもできる。

1965年には第1次下水道整備五カ年計画が始まり、ヒューム管需要が増加し始めた。社会インフラを支える基礎材料として、コンクリート製品に対する期待は高く、これが「黄金の昭和40年代」へと続く成長の土台となった。

●新たな挑戦の年

2026年は60年前とは状況が全く異なる。むしろ日本経済のピークアウトと失われた30年、人口減少社会の到来で、鉱工業生産は下降を続けている状況だ。それだけに、未来に向けた準備と挑戦はなおさら重要になる。現在、セメントや生コンクリートの需要量は、60年前の水準にまで落ち込んでいる。需要量は当時と同じでも、これまでと同じ延長線上で需要の増加を期待することは難しい。

2026年に求められるのは、新しい価値の創出だ。ひとつは新市場を開く「新しい量」の切り口。もうひとつは、社会がサステナビリティを主軸に置く時代にふさわしい「質」の切り口、すなわち脱炭素・長寿命化・環境適応だ。「質」が「新しい量」を生み出すともいえる。

火の年は、勢いのままに浮かれてしまいがちだ。1966年にも、社会の浮つきや混乱が随所に見られた。だが同時に、誠実さや丁寧な取り組みがきちんと評価された年でもある。

火の年だからこそ、足元を固め、「質」で勝負すべきだ。確かな質を磨きながら、力強く次の時代を切り開いていきたい。

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