雪景色でリセットされた赤レンガ庁舎に想う
設計/山之内裕一・山之内建築研究所
北海道には多くの訪れてみたい場所や建物がありますが、とりわけ赤レンガ庁舎と呼ばれ、観光客にも親しまれている北海道庁旧本庁舎はその代表格でしょう。今からおよそ150年前、北海道開拓使が設立され、拠点施設として現在に至っています。現建物は、明治21年に竣工したレンガ造の堂々とした建物です。
著名な建築歴史・建築家の藤森照信さんが作成した、日本レンガ造建築番付(横浜開港資料館編日本煉瓦建築番付)によると、赤レンガの東京駅と並び堂々東の正横綱に位置づけられました。だからというのではありませんが、北海道民そして札幌市民が誇る唯一無二の憩いの場です。
赤レンガ庁舎建物前に豊平川扇状地先端の湧水による2つの池があります。池のまわりに桜が植えられており、北国の遅い春に満開となって今年も私たちを魅了することでしょう。
現在、赤レンガ庁舎は、2024年度まで内部については大改修閉鎖中で観ることができません。前回の改修から50年を経過し、現行耐震基準補強とバリアフリー化を目的とする大改修事業です。
つまり現状では構造上不安があり、機能的に不満足。さらにさまざまな劣化を補修改修し更新しなければ、今後の使用ができません。
しかし誰もが改修後に期待しています。適切な維持管理が将来世代に引き継がれる建築文化財をつくります。この保存事業は、地域の歴史や建築文化継承のお手本になります。
言うまでもなく都市や建物は適切な維持管理なしに十分な状態を保つことができません。私たちの住宅についても同様です。生活の器としての住宅は、都市建築と比較してよりきめ細かい維持管理や更新が必要なのだと考えています。
北海道庁旧本庁舎 詳細情報
- 所 在 :北海道札幌市中央区
- 構造・規模 :煉瓦造、2階建、地下1階
- 重要文化財 :1969年3月12日指定
- 建築面積 :1654.4㎡
- 設計監理 :平井晴二郎
- 竣 工 :1888年(明治21年)
(文化庁国指定文化財データベース)
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