住宅の増築の可能性

山之内裕一・山之内建築研究所

所有者が替わり、家族構成とライフスタイルの変化に対応することが求められた。私が十六年前に設計した個人住宅で、二年前から新しいクライアントと共に住まいづくりに関わってきた。現在までに設備機器の更新や屋根外壁の再点検、新しい庭の再整備を終えている。そして、カーポートの上にアトリエを増築することになった。クライアントは、プライバシー重視の空間を要望していた。私は、基本的な法規チェックを済ませ、実現可能な面積と予算を検討。正面性を強調する強い形態の円形平面を提案した。増築構造形式は、木造またはコンクリートブロック造の二択。はじめに木造を検討した。既存二階同様に納まりは良い。しかし、音のプライバシー確保の難しさ、また最近の予測できないコストの懸念から木造を断念。木質化への挑戦は次の機会としたい。

既存新築時の構造計画に増築用荷重が見込まれており、コンクリートブロック造を選択した。既存カーポートは、躯体防水のスラブ屋根構造。既存スラブに、直接コンクリートブロック増築壁を立ち上げられる。増築二階屋根は、木造小屋組とRC造を比較検討、後者とした。増築屋根は外断熱シート防水。フラットで樋への水勾配がある。臥梁をコンクリートスラブに一体化させ、型枠量を削減、コスト管理上有利に働いた。結局、内部は床壁天井すべてコンクリート素材となった。ただし、床は断熱を施し木板貼。増築外部は、コンクリートブロック躯体に外断熱、既存外壁同様に丸小波ガルバリウム鋼板で覆う。あらためてブロックの長所である遮音性、施工性、コストの三点が評価軸になった。私の身近にある技術と人材を活用したシンプルで細部まで目の行き届く施工システムが構築できると考えている。

美しが丘の家  詳細情報

  • 所   在 :北海道札幌市清田区美しが丘
  • 主 要 用 途 :補強CB造一部木造、2階建
  • 構造・規模 :木造、2階建
  • 延 床 面 積 :330.58㎡
  • 延 床 面 積 :増築後188.82㎡(既存152.54㎡)
  • 設 計 監 理 :山之内建築研究所/山之内裕一
  • 施 工 :増築エムイー・ワイ(既存、札建工業)
  • 竣 工 :増築2022年予定(既存2006年)

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