CB建築の講義・その3

山之内裕一・山之内建築研究所

私たちは、建築空間を五感で受け止めています。同時に建築空間に組み込まれた法則を知覚し、さまざまな効果を感じ取ります。今回は、そうした建築空間の法則について、形式と内容を考えます。

「カスタマイズできる家(本誌第2992号)」は、三棟連結プランの補強コンクリートブロック造平屋住宅です。母屋棟を中心に、両端にカーポート棟と小屋棟の三棟を直線状につなぐ配置です。一つの大きな屋根で覆うにではなく、人の住まいに程よい尺度(スケール)をもつ小屋根の組み合わせとしています。全体として、尺度(スケール)が分節されることで建築空間が人間の尺度(スケール)に寄り添う外観を意図しました。

室内では、高窓が特徴的です。冬場の太陽を母屋棟の中心に取り込むため、コンクリートブロック壁を南面にずらしました。そこでは遠近感(パースペクティブ)が生まれ、奥行きが強調されました。

壁体のコンクリートブロックは目地込み200×400㎜の1:2の比例(プロポーション)を持ちます。屋根架構は、在来木造の455㎜の寸法体系(モデュール)を持ちます。これらの倍数でつくられた室内全体には、整然とした印象が生まれています。 ここでは、尺度(スケール)、遠近感(パースペクティブ)、比例(プロポーション)、寸法体系(モデュール)、などの建築空間に重要な法則が存在し、住まいに心地よい効果を生んでいます。私たち建築家は、先人たちが発見・発明した多くの成果を学びながら個々の設計事例に役立てているのです。

カスタマイズできる家  詳細情報

  • 所   在 :北海道南幌町(なんぽろちょう)
  • 構造・規模 :補強CB造および木造、平屋
  • 敷 地 面 積 :337.80㎡
  • 延 床 面 積 :115.93㎡
  • 設 計 監 理 :山之内建築研究所/山之内裕一
  • 施 工 :晃和住宅/小川敏夫
  • ブロック施工:よねざわ工業
  • 設   計 :2017年
  • 竣   工 :2018年6月
  • 撮   影 :佐々木育弥

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