CB建築の講義・その4
山之内裕一・山之内建築研究所
前回、建築空間をつくる重要な法則についての輪郭を描きました。今回は法則の内側を細部から塗りつぶすように考えたい。
一般的に補強コンクリートブロックの積み方は、縦目地が通る「いも積み」と、縦目地が途切れる「破れ積み」の2種類があります。前者は基礎から臥梁まで鉄筋1本で緊結できる明快さがあり、私は第一選択肢と考えている。他方、後者は横目地の水平ラインによる強い積層感が特長、「積層感」は組積造の本質なのです。
ほとんどのコンクリートブロック壁は、縦横に走る直線状目地の「繰り返し」による一枚の大きな「均一性」を持つ壁面として意識されています。また、壁は1:2の「比例」をもつ個々のコンクリートブロックで構成。それぞれのフェイスシェルは、セメント素材の幅10mm目地でジョイントされています。
「カスタマイズできる家」の十字平面プランの要点は、居間・台所・食堂の交差点にあります。その四つ角に「破れ積み」出隅コーナーを配置します。そうすることでコンクリートブロック壁全体が積層感で満たされることを意図しています。 「神は細部に宿る」という言葉を広めた建築家ミース・ファン・デル・ローエは、建築空間の本質が細部へのこだわりから生まれることを私たちに教えてくれるのです。
カスタマイズできる家 詳細情報
- 所 在 :北海道南幌町(なんぽろちょう)
- 構造・規模 :補強CB造および木造、平屋
- 敷 地 面 積 :337.80㎡
- 延 床 面 積 :115.93㎡
- 設 計 監 理 :山之内建築研究所/山之内裕一
- 施 工 :晃和住宅/小川敏夫
- ブロック施工:よねざわ工業
- 設 計 :2017年
- 竣 工 :2018年6月
- 撮 影 :佐々木育弥
- 家 具 :スリーク・北風ワークス
- 金 属 造 形 :佐藤歩惟
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