CB建築の講義・その10 ガラスブロックの可能性

山之内裕一・山之内建築研究所

先日、建材展示会のため北海道を訪れていた電気硝子建材株式会社のKさんとTさんが、空間デザイン・コンペティション第30回記念誌(1994-2023)を届けてくれた。日本電気硝子グループが開催してきたガラスブロックのコンテストの記録で第30回を区切りに休止するとのこと。私は実作例部門で2006年「チタンコンテナ」・2013年「僕の小部屋」の2度入賞した。授賞式は半蔵門のホテルで開催、賞のコーディネーター馬場璋造さんの建築家を鼓舞するスピーチが記憶に残る。

現在、小屋群住居A(本紙2019年10月21日号掲載)では、成長期を迎えた子供たちにそれぞれ独立したスペースをつくりプライバシーを守ることを目的とした子供室改造計画が進行中。まず初めにガラスブロックを利用することを決定、それから受賞した2件のそれぞれ異なった使用例の経験を生かしながら、ガラスブロックを用いた豊かな空間を作ろうとしている。

「チタンコンテナ」では乳白色ガラスブロックに視覚的存在感を求めた。「ガラスブロックは1階ホールと子供室を仕切る壁として使用しています。~中略~主人を待つ部屋の虚ろな存在感を投光不可視のガラスブロックに求めています。(応募コメント)」また「僕の小部屋」では、「子供たちが成長し、住居内に独立したスペースが必要となり~中略~オープンスペースは吹抜けで階下の居間や食堂と連続しているため、ガラスブロックの遮音性と透光性を生かし、快適な小部屋とした。(応募コメント)」とし、プレーンなガラスブロックに透光・遮音の機能・性能を求めている。今回あらためて記念誌を眺めると数多くの優れた提案や実作例に驚くと同時にガラスブロックならではの用法や模索の歴史を再確認できた。 ガラスブロックはコンクリートブロック同様、規格化と職人の手作業を共有する近代建築素材で、これからも新しい空間を生む可能性に満ちている。

小屋群住居A  詳細情報

  • 所   在 :北海道旭川市
  • 構造 :補強コンクリートブロック造、一部木造
  • 敷地面積 :1040.76㎡
  • 延床面積:144.20㎡
  • 設計監理:山之内建築研究所/山之内裕一
  • 施工:フロンティアホーム株式会社/橋詰博文
  • CB工事:よねざわ工業株式会社
  • 竣   工 :2018年/改修:2024年
  • 撮   影 :山之内建築研究所

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