再々録・セラミックブロックの家

山之内裕一・山之内建築研究所

屋根を支える構造材がそのまま仕上壁になる無垢の素材、そういう本物の素材で家をつくりたかった。最近聞いたコンクリートブロック住宅のクライアントの言葉です。このコラムで取り上げたセラミックブロックもまた、コンクリートブロック以上に本物の素材でした。(2015年8月24日号)当時、国内唯一のメーカーであった北海道農材工業のデータから、社会に有用な建築素材と生産者の生き残り戦略の興味深い関係性が見て取れるのです。 北海道農材工業は1965年、野幌工場を操業しセラミックブロック生産を開始しました。資料によると、12年後の1977年は2,600,000個以上の出荷を記録しています。戸建て住宅に換算すると1,700戸以上になります。(1,500個/戸)1970年から1980年代は生産量好調な時代でした。この頃の代表建築として、建築家・倉本龍彦さん設計の沙羅茶館(さらさかん、1978年、北海道旭川市)がありますが、後日あらためてレポートしたい。1990年に入り、バブル崩壊後は一気に生産量が激減します。それでもセラミックブロック住宅会社(セラミックアーバン)を立ち上げるなど安定的な供給を保ちます。この頃の住宅として建築家・小室雅伸さん設計のA邸(1999年、ノーザイセラミティハウス)があります。私の岩見沢の家(2002年)もこの頃です。しかしリーマンショック翌年の2009年、突如、野幌工場閉鎖となり50年続いたセラミックブロック生産が終了するのです。これには私たち建築家も驚きました。最終年の生産量は400,000個(住宅換算300戸以上)で、これは操業開始時と同等以上の水準です。時代は多品種少量生産フェーズ、唯一無二の素材として価値を認識するならば、社会的影響大の生産中止ではなく持続可能な生産システムへ転換する選択肢もあったのでは、と夢想しています。

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