スカート断熱

新型コロナ禍が取りざたされていなかった2月、プロジェクト2020として、このコラムで紹介した住宅の続報です。その後、クライアントや工務店の努力に助けられ、無事着工。あらためて概要説明すると、各方面から注目を集めた「カスタマイズできる家」をモデル仕様とし、敷地やクライアントの個性に合わせたコンクリートブロック平屋住宅。今回、クライアントと共に土地探しから関わり、建物だけではなく敷地や周辺環境について総合的に計画できました。案内された敷地の隅に、撤去予定の梅と桜の大木がありました。特に桜は隣家の庭と一連の並木状態、通りからはまさに地域の風景を作っています。これは大きな財産、そう感じた私は、あまり乗り気ではないクライアントを説得。その他のツツジやオンコなどと共に残すことを提案、配置計画の起点としました。それから、4月初旬に地鎮祭、5月は基礎まわり施工、と現場は細心の注意を払いながら進捗しています。断熱は、北海道では定番の基礎断熱、そしてスカート断熱です。そもそも建築は人間や財産を守るシェルターです。自然環境が厳しい北海道では、特に温熱環境の守りが大切で、そのためのコストが余計にかかる。そこで、公的機関の北海道寒地建築研究所(現・北方建築総合研究所)で研究開発されたのがスカート断熱。基礎断熱の外側にさらに断熱材を施工することで凍結深度を軽減する工法で、基礎を浅くできるためコスト軽減に役立ちます。私は、先人たちが残した技術を活用し、構造と温熱環境そしてコスト、それぞれの性能値を上げながら最適解を追求することが役割だと考えています。

(山之内裕一/山之内建築研究所)

2020年5月25日第3088号

スカート断熱 詳細情報

  • 江別の平屋1(プロジェクト2020 HOUSE1)
  • 所  在:北海道江別市
  • 構造規模:補強CB造および木造、平屋
  • 敷地面積:266.00㎡
  • 延床面積:107.97㎡
  • 設計監理:山之内建築研究所/山之内裕一
  • 施  工:株式会社 松浦建設
  • ブロック施工:株式会社 よねざわ工業
  • 設  計:2019年8月~2020年1月
  • 竣  工:2020年9月予定

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