反・風土的建築としてのコンクリートブロック

山之内裕一・山之内建築研究所

北海道東部の街・釧路市に「反住器」と命名された住宅がある。50年前に造られた小さな住宅で、日本の住宅建築史に残る名作。今年の夏、40数年振りに訪れた。当時、若者の私が衝撃を受けた住宅だ。現在、外壁塗装は白色に一新、しかし形態は衰えを知らないかのように強い。隣地が空地になり隠れていた南側外観も明瞭に見られるようになった。そこで今回、改めて住宅を眺めると、特徴的な立方体外壁素材にコンクリートブロックが用いられているのが気になった。住宅のコンセプトについては既往の解説等を検索・参照していただきたい。住宅の基本構造は鉄筋コンクリート造、立方体フレームに斜材を組み合わせた三角形をすべての外壁面で構成している。三角形の内側は、透明ガラス入りサッシとコンクリートブロックで埋められた。コンクリートブロック使用率は、外装材の60%を占めている。そもそもコンクリートブロックの使用は、組積造石材の代替かコンクリートの廉価材として用いられる例が多いのだが、コンセプチュアルな表現を重視したこの住宅では疑問が残る。そこで、バナキュラー建築として考えた。つまり、地域に長い時間をかけて根付いた工法や素材がつくる風土的建築(バナキュラー建築)そのもの、だとするとコンクリートブロックの使用が理解しやすい。おそらく、地元のブロック職人が将来持続的に積むことができるようにとの配慮に違いない。「反住器」の反には反復の意味もある。ともあれ、風土の材料、コンクリートブロックが厳しい北海道の自然に対峙する外装材として選択され、名建築を支えている事実を改めて認識した。

反住器  詳細情報

  • 設 計 :毛綱毅曠
  • 施 工 :中川建設株式会社
  • 所   在 :北海道釧路市富士見町
  • 構造・規模 :RCフレームコンクリートブロック造、2階建
  • 敷 地 面 積 :102㎡
  • 建 築 面 積 :55.26㎡
  • 延 床 面 積 :105㎡
  • 竣   工 :1972年
  • 写 真 :山之内建築研究所(2022年)

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