しめやかにお別れの会 故栁澤要三郎氏(前エスビック社長)
2月7日に92歳で逝去したエスビック前社長、故栁澤要三郎氏のお別れの会が22日、ホテルベルクラシック(東京都豊島区)で執り行われた。同業社や取引先を中心に約300人が参列し、厳かな雰囲気のなか全員で黙祷を捧げ、故人の冥福を祈った。参列者による献花も行われ、一人ひとりが静かに花を手向けながら、故人への感謝と別れの思いを胸に刻んだ。
エスビックの栁澤佳雄社長は追悼の辞で、故人の歩みと業界への功績を振り返り、「故人は高校・大学で体操選手として活躍し、昭和31年(1956年)、新日本ブロック(現、エスビック)に入社。同年開催の第一回全日本実業団体操競技選手権大会と、翌年の第二回大会で連続して総合5位に入賞した。後年、当時を振り返り『自ら考案したSBマークを胸に、自社をPRできたことは大きな喜びだった』と語っている。ライフワークは、日本のコンクリートブロック事業の発展を図ることだった。全国建築コンクリートブロック工業会の会長職を、歴代最長となる14年間務めた。第1回米国NCMAメーソンリーEXPO95視察のため研修会を企画するなど、コンクリートブロックの先進地、アメリカのNCMAとの交流を深めたのも大きな功績だ。現地視察研修では、多くの参加者にブロック事業への夢と希望を与え続けた。中でも最大の功績は、平成16年(2004年)に都市機構都市住宅技術研究所(東京都八王子市)で実施した、コンクリートブロック塀の大がかりな振動三次元実験を通じて、安全基準を満足する施工を行えば、ブロック塀が粘り強く強固な構造物となることを実証したことだ。この実験の一部はNHKでも放送された。平成14年には、このような功績が認められて経済産業大臣賞を受賞した。今後は故人の遺志を継ぎ、役職員一丸となって社業発展にまい進すると共に、地域社会のお役に立てるよう努力してまいります」と述べた。
会場には在りし日のスナップ写真などを展示して、故人を偲ぶスペースが設けられた。また、ブロック塀の振動実験を取り上げたNHKニュースでインタビューを受ける故人の姿を、映像で流した。
故人は常に業界の未来を見据え、その発展を何よりも願っていた。新たな需要開拓に向けて、ブロック造建築や乾式土留め工法の普及を提案するなど、業界の改革と発展に向けて大きな足跡を残した。
業界人の人望も厚く、全国建築コンクリートブロック工業会の会長を14年にわたって務めあげた背景には、単なる実務的な手腕のみならず、多くの人々から寄せられた厚い信頼と、人の心を惹きつける求心力があったことを物語っている。その人柄と志は今なお、多くの業界関係者の心に生き続けている。